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戯れプチ小説〜 (´ー`;)








= 志賀高原 =

 photo by
    Muneさん


 ☆・.。*゜・。。・゜・:*:・戯れ小説でし おそらく気まぐれ更新でふ ☆・.。*゜・。。・゜・:*:・

                 『 僕の事情 』  −壱−
電車から吐き出された僕は、人の背と足元だけを見ながら速度を合わせ流れに添って歩いていった。 
改札口から散り散り八方に闇に向かって足音が消えていく。
「 此処は何処だろう… 」 毎日降り立っている駅なのにフト思う。 越して来て3か月経つのに何時までも馴染めない風景だ。  此処で良いんだろうか、違うんじゃないだろうか、ならば僕は一体何処へ行けばいいのだろう。 此処しか返る所は無いのにくだらない事を思う。
自分の仕出かした小さな失敗が自信を奪っていった。 見慣れた風景までもが余所余所しく感じられる。  奥歯で憤懣を噛みながら、今朝の出来事を振り返っていると、自分の矮小さが惨めで堪らなくなった。

駅から50mの自販機の前、ひとりの男が小銭をジャラといわせて立っていた。
先客がポケットでもたもたしてるから暖代わりの缶コーヒーは諦めて素通りした。
すれ違いざま男の顔を見やると自販機の明かりから失望の色を帯びた瞳が窺えた。
「 なんて目をしているんだ… 」 自分の分身を見る思いだった。 そういえば背格好までも似ている。

夜の匂いを嗅ぎながら白い月明かりと共に家路を行く。 ため息を包んで吐く息が タール色の帷に吸い込まれていった。 影との境目が分らなくなる程暮れていた。
今更、何故にこんな虚しさに追い掛けられなければならないのか。 小さな失敗なんで誰にでもあるじゃないか。 その時はまだ、僕の仕出かした小さな失敗で、抜き足ならぬ状況に追い込まれる事になるとは思ってもいなかった。
静けさが待ち構えている部屋のドアをゆっくりと開けると、失望の色を帯びた空気が辺り一面に広がり、僕の椅子に自販機前で通り過した筈のあの瞳の男が座っていた。 
そして口を開き「 お帰り… 」           つづく

絵夢 * 戯言 * 18:25 * comments(19) * -
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